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第1章 過去

ナンパでの失敗から間もなく、次の機会が訪れた。
カズミの彼氏の友達だった。
私に紹介がてら、ダブルデートという形になったらしい。

その日は作り笑顔ではなく、自然な笑顔を意識した。
相手の目を見て話すよう心がけて臨んだ。
すると、男に気に入られたのか、腕に触れたり、肩に手を回したりと、軽いボディタッチが増えてきた。
積極的に話しかけてくる様子もあった。

どうせまた、同じようなやり取りの繰り返しだろうと思った。
そこから学習できるようなことは、何もないだろうと。

そうして今回も、連絡先を交換してダブルデートは終わりを迎えた。
ただ、前回のナンパ男とは違って、今回は連絡先を消去しなかった。
この男とは、何か繋がりが続きそうな、そんな予感がしたからかもしれない。

家に帰ると、カズミからの質問攻めに困りながら、その日を振り返った。