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微熱に疼く慕情
第12章 【盲目的な愛が辿る一途】





え………ちょっと待って、久しぶりのキス
ダメだよ、突き飛ばさなきゃ
でも、力入んない
腰から引き寄せられて、道路の脇、人目を盗んで
深いキス………
舌、絡めない……ダメ
やっとの思いで胸を叩いたのに
その手も握り締められて舌先を絡めてしまった



クスッ…と余裕の笑み浮かべられて
咄嗟に顔を背ける
それでも逃してくれないからまた捕まる



「違う部屋、取って良い?」


「ダメ……帰る」


「俺の事…もう嫌い?本当は、会いたくなかった?」



違う、と首を振る
「じゃあ…」と急かす唇は人差し指で遮る



「皆、大好きだよ、それは変わらない……でもね、もう、関係は断つね?誰と再会しても同じ……だから強引に奪わないで、あの日にサヨナラした意味がなくなっちゃうでしょ?私はもう違う道を歩いてる、それは黒崎さんも…なはずだよ」



一生懸命、理解しようとしてくれている
理性と闘ってくれているのかな



「これ以上言ってもわからないなら、黒崎さんだけ嫌いになっちゃうから」


「え、それは嫌だ」


「んふふ、じゃ、おしまい、ホテル帰ります」


「わ、わかった、送る、送ります」



信号が青になった時、恐る恐る
「手は繋ぐね?危ないから」と言ってきた



私も、今日、黒崎さんと会えて良かったです
やっぱり気になってたから
同じ空の下、何処かで笑って生きてくれてたら良いなって思ってた
また誰かを愛した時、たくさん幸せにしてあげて欲しいし、幸せになって欲しい



それに、黒崎さんは明島さんのオマケなんかじゃないよ
ちゃんと第一印象で堕ちてます
歪な愛の形ではあったけど、あなたを愛した日々に何一つ嘘はない
自信を持って言える、私の愛した人ですって……



どうか、皆
これからの人生、もう交わる事はないだろうけど
心から願ってる
あの日々を越す愛に包まれていますように、と———










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