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微熱に疼く慕情
第12章 【盲目的な愛が辿る一途】





「何かあった?」


「ん…?何もないよ」


「いつもと顔つきが違う、嘘ついてるだろ?」


「クスッ…何それ、何もないってば」


「会いに来た事、怒ってるのか?悪い、どうしても顔が見たくなって」



抜いて欲しいんでしょ、とは言えなかった
今日は帰って……と言えるだろうか
私に対する異変を直に感じ取っているだろう
1人になりたい……大智ならわかってくれるはず
そう思って顔を上げた私は、大智の背後に見えた人物に固まってしまう
ジャリ…と足音が鳴って目が合った
私の視線に気付いて大智も振り向く



「一華、そんな男とうつつ抜かしてたのか?」



結局、こうなっちゃうのね
全部、自業自得
わかってる
ピンチはピンチじゃない
なるべくしてなった



同じくスーツに身を包んだ明島さんが私たちを見ている



「知り合い?」と大智に聞かれて頷くしかなかった



「一華?俺の質問に答えれないの?」



妙に落ち着いた声
ここは穏便に、冷静に対処したいところ
それは明島さんも同じなはずだ
キョロキョロしてる大智も知る権利はあるよね



「明島さん、この人は古賀大智さんで前の職場の同僚です……で、大智、この方は明島誉さん、色々相談乗ってもらったりお世話になってる人」



しどろもどろで紹介すると明島さんは私の元へやって来た



「相談、ねぇ〜」


「あ、あの今日は私、その…」


「元カレか何かか?繋がってる男、清算出来てなかった?」



低い声の裏側に怒りが感じ取れて萎縮してしまう
間に入ってきた大智が
「俺とはそんな関係じゃないです、勘違いされやすいのでこれから気をつけます、今日は帰るね」と空気を読んでくれたのに、それを止めたのは明島さんだ





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