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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
☆☆☆
【ダリとスクセが交戦する10分ほど前・・・鞍馬山の麓にて】

鞍馬山周辺では、土御門の命により陰陽寮京都支部員が総出で包囲網を敷いていた。拠点はこの本陣の他にも鞍馬山を囲む4箇所に設置されており、概ねだが、山を中心に東西南北の位置に設置してあった。

私、浦原綾音がいるのは、そのうちの一つである『北』の拠点である。そして、ここは拠点であると同時に、包囲戦の中核たる『本陣』としての機能も有していた。

周囲を見渡すと、簡易的なテントがいくつか立てられており、それぞれに机、携帯型の発電機、PCなどが持ち込まれている。何人もの陰陽師たちが慌ただしく行き交い、それぞれの任務にあたっていた。

本陣の周辺には、照明兼火の結界術の維持を担う篝火が数基設置されており、それぞれが赤々とした炎を巻き上げ、暗い夜空を朱に焦がしていた。

このちょっとした前線基地の様相を示している詰め所にいるのは京都支部の支部長である祭部衆属の一位、烏丸宗吾(からすま そうご)及びベテランである占部衆属の二位、御池優希(おいけ ゆうき)を筆頭とした数十名の陰陽師であった。

鞍馬山にて敵方に捉えられている御九里を救助し、私にかけられた『死の呪い』を解くためにスクセが持つ沖津鏡を手に入れる。それが今回ダリに課されたミッションである。沖津鏡に呪いをかけられたり、辺津鏡によって操られたりするリスクを考えると、山に入るのは強大な力を持ちながら、それらの影響を受けない事がわかっている者・・・ダリに頼らざるを得ないわけだ。

しかし、ダリは強大無比な妖怪だが、いくつか弱点も抱えている。例えば、閉鎖空間に閉じ込められ、妖力を減弱する結界などで囲われてしまえば、その力を大幅に削られてしまうことになるし、力を逃がすような術を駆使され、力押しを封じられるのにも意外と弱い。

そのため作戦を確実なものとするために、ダリをサポートすることが必須になるわけだ。そのための包囲網がこれである。
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