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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
だが同時に、ダリの方もまた、決定打を欠いているのは確かだった。絶え間なく斬撃を繰り出すスクセの前に、呪言の詠唱が必要な大技を繰り出す暇もない。
埒が明かぬか・・・ならば!
ダリが一気にその身に秘めている妖力を解放する。
ゴウッ!
凄まじい妖力の爆発が、周囲の空気を押しのけて広がっていく。スクセがいかに八握剣で強化された肉体を持つとは言え、この爆風を受ければ、一瞬その動きは硬直することになる。
その隙をダリは見逃さなかった。
素早く槍の石づきを地面に突き刺すと、槍の柄と自らの右手の刀印で十字形を作る。そして、その十字の交点に力を急激に収束させていく。
「くっ!!」
ダリが何をしようとしているのかを測りかねたスクセは、方向転換をして間合いを取らざるを得なかった。柄を上、切っ先を下にして、顔を守るように構える防御に特化した『柳の構え』だ。
『八握剣・・・四段目っ!』
さらにもう一段階の権能を引き出す。途端に体中から生命力が吸いつくされていくようなおぞましい感覚に襲われるが、今のスクセには、それにかまっている暇などなかった。
ダリはそんなスクセをめがけて十字の交点に狙いを定めると、そこに収束した妖力を一気に解き放つ。これは本来、技などというほどのものでもない。単純に己の妖力を収束させ、射出するだけのものだ。威力は限られるが、その分、素早く使うことができる術だった。
収束したダリの超妖力がまばゆい金色の光線となりスクセに襲いかかる。それがスクセに着弾するのと、彼女の持つ八握剣が眼の前に結界を張るのはほぼ同時だった。
間一髪で、半球型の結界の展開が間に合ったのだろう。構えた剣のわずか数十センチ前でダリが放った光線が花のように弾けて宙に消えていった。
フラッシュのような光が周囲の闇を日中のように照らし出す。その光に一瞬スクセの目がくらむ。
『しまったっ!』
視界が戻るまでの刹那の時間を天狐が待つわけがない。そして案の定、先程まで天狐がいたはずのところに彼はすでにいなかった。
「終わりだ・・・」
左手から呟くようなダリの声が聞こえた。スクセの背筋にゾクリとした悪寒が走る。
「ご・・・五段目!!」
埒が明かぬか・・・ならば!
ダリが一気にその身に秘めている妖力を解放する。
ゴウッ!
凄まじい妖力の爆発が、周囲の空気を押しのけて広がっていく。スクセがいかに八握剣で強化された肉体を持つとは言え、この爆風を受ければ、一瞬その動きは硬直することになる。
その隙をダリは見逃さなかった。
素早く槍の石づきを地面に突き刺すと、槍の柄と自らの右手の刀印で十字形を作る。そして、その十字の交点に力を急激に収束させていく。
「くっ!!」
ダリが何をしようとしているのかを測りかねたスクセは、方向転換をして間合いを取らざるを得なかった。柄を上、切っ先を下にして、顔を守るように構える防御に特化した『柳の構え』だ。
『八握剣・・・四段目っ!』
さらにもう一段階の権能を引き出す。途端に体中から生命力が吸いつくされていくようなおぞましい感覚に襲われるが、今のスクセには、それにかまっている暇などなかった。
ダリはそんなスクセをめがけて十字の交点に狙いを定めると、そこに収束した妖力を一気に解き放つ。これは本来、技などというほどのものでもない。単純に己の妖力を収束させ、射出するだけのものだ。威力は限られるが、その分、素早く使うことができる術だった。
収束したダリの超妖力がまばゆい金色の光線となりスクセに襲いかかる。それがスクセに着弾するのと、彼女の持つ八握剣が眼の前に結界を張るのはほぼ同時だった。
間一髪で、半球型の結界の展開が間に合ったのだろう。構えた剣のわずか数十センチ前でダリが放った光線が花のように弾けて宙に消えていった。
フラッシュのような光が周囲の闇を日中のように照らし出す。その光に一瞬スクセの目がくらむ。
『しまったっ!』
視界が戻るまでの刹那の時間を天狐が待つわけがない。そして案の定、先程まで天狐がいたはずのところに彼はすでにいなかった。
「終わりだ・・・」
左手から呟くようなダリの声が聞こえた。スクセの背筋にゾクリとした悪寒が走る。
「ご・・・五段目!!」

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