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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
♡ーーーーー♡
【二転三転】物事の内容や方針、状況などが何度も変わること。
さっきまでと違う!?え・・・?また違う!!・・・みたいな。
♡ーーーーー♡
未明の空を切り裂いて、一筋の雷光が鞍馬山に突き刺さる。熱波が空を切り裂く轟音と、溢れんばかりの光は、その雷鎚に乗って降り立った者が己の存在を隠す意図などまったくないことを如実に示していた。
周囲の木をなぎ倒し、地面を焦がし、その者がゆっくりと立ち上がる。
平安時代の貴族を思わせる藤色の狩衣に美しい黒髪を背まで垂らしている。透けるように白い肌に強い意志の光を宿した切れ長の目・・・まるで映画俳優のような容姿ではあるが、二つだけひとならざる特徴を有していた。
頭の上に狐の耳、背に尻尾が見え隠れしている。
その姿は古の人が『天狐』と呼び、神として祀っていた姿そのままであった。
天狐が右手を伸ばすと、そこにまるで中空から突如湧き出したかのように古びた槍が現れる。鈍く光るそれは、その古びた見かけによらず、周囲に圧倒的な威圧感を放っていた。
『天魔反戈(あまのかえしのほこ)』
それは日本創生の秘技を成した、間違いなく世界でも類まれな権能を持つ神の武具であった。
その天狐が顔を上げ、中空の一点を見つめた。
「刻限まで待ったぞ・・・さあ、全てを返してもらおうか」
その視線の先には沈みかけた月を背負い、中空を浮遊するスクセがいた。先日、見(まみ)えたときの黒尽くめのSUKUSEとしての姿ではなく、緋紅に仕えるときに身に着けている巫女服・・・薄青色の上衣に朱の袴を身にまとっていた。
そして、右手に無造作に握られているのは、ダリの天魔反戈と同じく神の力を宿す武具、神宝・八握剣。所有者の意向に応じて一段目から八段目まで段階的に力を発揮するその剣は、すでに数段階目の権能を引き出されているらしい。剣から放たれている金色の光がスクセの全身を覆っており、それが彼女を空中にとどめているようだった。
スクセが冷たい光を宿した目を細める。剣を持ち上げ、その切っ先をダリにピタリと向けた。
「天狐ダリ・・・その生命、いただくわ」
ゆらり、とその身体が一瞬ぶれたように見えた。月明かりの水脈を残し、その姿が消える。
【二転三転】物事の内容や方針、状況などが何度も変わること。
さっきまでと違う!?え・・・?また違う!!・・・みたいな。
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未明の空を切り裂いて、一筋の雷光が鞍馬山に突き刺さる。熱波が空を切り裂く轟音と、溢れんばかりの光は、その雷鎚に乗って降り立った者が己の存在を隠す意図などまったくないことを如実に示していた。
周囲の木をなぎ倒し、地面を焦がし、その者がゆっくりと立ち上がる。
平安時代の貴族を思わせる藤色の狩衣に美しい黒髪を背まで垂らしている。透けるように白い肌に強い意志の光を宿した切れ長の目・・・まるで映画俳優のような容姿ではあるが、二つだけひとならざる特徴を有していた。
頭の上に狐の耳、背に尻尾が見え隠れしている。
その姿は古の人が『天狐』と呼び、神として祀っていた姿そのままであった。
天狐が右手を伸ばすと、そこにまるで中空から突如湧き出したかのように古びた槍が現れる。鈍く光るそれは、その古びた見かけによらず、周囲に圧倒的な威圧感を放っていた。
『天魔反戈(あまのかえしのほこ)』
それは日本創生の秘技を成した、間違いなく世界でも類まれな権能を持つ神の武具であった。
その天狐が顔を上げ、中空の一点を見つめた。
「刻限まで待ったぞ・・・さあ、全てを返してもらおうか」
その視線の先には沈みかけた月を背負い、中空を浮遊するスクセがいた。先日、見(まみ)えたときの黒尽くめのSUKUSEとしての姿ではなく、緋紅に仕えるときに身に着けている巫女服・・・薄青色の上衣に朱の袴を身にまとっていた。
そして、右手に無造作に握られているのは、ダリの天魔反戈と同じく神の力を宿す武具、神宝・八握剣。所有者の意向に応じて一段目から八段目まで段階的に力を発揮するその剣は、すでに数段階目の権能を引き出されているらしい。剣から放たれている金色の光がスクセの全身を覆っており、それが彼女を空中にとどめているようだった。
スクセが冷たい光を宿した目を細める。剣を持ち上げ、その切っ先をダリにピタリと向けた。
「天狐ダリ・・・その生命、いただくわ」
ゆらり、とその身体が一瞬ぶれたように見えた。月明かりの水脈を残し、その姿が消える。

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