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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活
オフィスの空気がやわらいだのは、夕方、上司が退勤したあとだ。
肩の荷が降りたような顔で業務を続ける残業組に、中堅達は無理をするなと声をかけながら、我先にと帰宅した。
亜純が上司の無理難題を遂行したのは、終電十数分前だ。
りなが夕飯から戻ってきて、差し入れと手伝いをしてくれたお陰だ。一人いなくなっただけで、随分、仕事も捗った。
明咲達には、昼間の誘いを撤回していた。
彼女らは労いのコメントを付けながら、上司の横暴ぶりに驚いてもいた。佐和子の経営方針はよく知らないが、少なくとも社員達には電車の本数が減らない内に退勤させていそうだ。
りなが、うーん、と伸びをした。
亜純が帰りの荷物を確認してきた時のことだ。
「お疲れ様です、皆さん。部長、荒れてましたねぇ。……林さん大丈夫ですか?」
「有り難うございます、伊本さん。ごめんなさい、つい泣いちゃって……」
昼下がりほどではないにしろ、林が気まずそうに俯いた。
りなが両手のひらを左右に振る。
「いえいえ、お陰で私は部長の目を逃れられて、皆さんのお手伝いが出来ました。結果良ければ、ってやつです」
「伊本さんは、峰積さんをお手伝いするためなら、残業もお嫌いじゃないですもんね!」
社員の一人のからかいに、りながほんのりはにかんだ。
二人につられるようにして、林も今度は相好を崩す。
「あ、そっかぁ。私達、お邪魔でした。馬に蹴られる前に帰りまーす」
「ふふ、お疲れ様です。本当に助かりました」

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