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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ
ゴールデンウィークに入る前、亜純と長編ポルノの真似事をした。
あの時は、尺の三割も模倣しきれないで眠りに落ちた。
今夜は、あのひとときを上回っている。いつの間にか。
亜純ほど欲しいものを与えてくれる女など、明咲にはいないのに。
泊まっていけば良いという稲脇の提案を辞退して、明咲は佳歩のいる部屋に戻った。
スマートフォンの明かりを頼って框に上ると、消灯した客室から、軽快な音楽が聞こえてきた。
「小川ちゃん?」
「あっ、お帰り」
彼女の手元の画面の明かりが、白い指を浮かび上がらせていた。よく動く表情をより無邪気に見せる垂れた目尻に合う黒目がちな目に、どこか疲れた色が覗いている。
「電気消してゲームしてたの?」
「好きな時に寝落ちれるからー。遅かったね、社長、そんなに退屈がってたの?」
「うん、まぁ……ごめんね。先に寝ていてくれたら良かったのに」
「眠れないよ。今夜中にクリアして、サポートキャラを育成しないと」
すこぶる普段通りの友人に、安堵した。
暗がりで良かったのかも知れない。無邪気で素直な佳歩の視界に、今の明咲は入るべきでない。
明咲にとって、他意なく優しい彼女の想いは、安らぎに近い。その好意を持て余しても、彼女を落胆させたくない。
自立している、キラキラしている、恋愛的に好きだった。…………
彼女の言葉の数々は、きっと明咲に相応しくない。それでも今は、彼女の目に触れているままの自分を見せていたい。
「小川ちゃん、……ごめん」
「良いってば。見かけによらずブラック企業だったんだねー。明咲ちゃん、休日出勤手当て、請求した方が良いよ!」
佳歩が慌てて両手を振った。
彼女に真意は伝わらなくても、明咲に出来るのは謝罪だけだ。
亜純に焦がれて、佳歩に救われている。
明咲には、彼女らが羨ましい。清らかで、自由だ。
きっと、そんな彼女らをただ大切に想うだけが、明咲に唯一許された自由だ。
第4章 愛しのお姉様と姫とママ──完──

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