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第23章 涙雨

　時には挿絵が入っており、雪鈴は恍惚(うつと)りと絵の中の宮殿に見入ったものだ。だが、現実に我が眼で見た王宮は、絵の何倍どころか万倍も見事だ。絵に描かれた王宮も十分に美しかったけれど、現実の中の宮殿は比べようもない。




　ふいに眼前をひらひらと黄色の蝶がよぎっていった。雪鈴はいざなわれるように蝶を追いかけ、振り向く。