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因果応報
第2章 いけすかないオンナ
「渡辺課長、さっきのプレゼン、カッコ良かったっす!」

部下の柳川が、大袈裟に人前で褒めちぎるのをチラリと見て、
当たり前じゃないという顔をしながら、

「ありがと。
帰り、大口の発注の前祝いでも行こか?」と、
周りを見回して言うと、
いそいそとみんなが同意するように頷いた。


「やった!
渡辺課長のおごりですよね?」と調子に乗って言う柳川に、

「まさか!
割り勘!
なんで、あんたらにおごらなあかんの?
クライアントさん相手なら、
領収書切れるけど、
あんたらとだと、自腹やん」と釘を刺すと、
柳川は上目遣いに頭を掻く。


「柳川くん、人数確認して、
適当にどっか、予約しといて?
アタシ、まだ、仕事あるし」と言って、
デスクに戻りながらチラリと松本杏奈の方を見た。


ダイアン・フォン・ファステンバーグの黒いラップワンピースに、
すっきりと髪を纏めて、
姿勢良くパソコンのモニターを見ながらブラインドタッチで入力している。

眼鏡を掛けていて、
口紅以外はほぼ、スッピンに見える。


柳川が彼女に近付いて、

「松本さんは?
飲み会…」と話し掛けるけど、
案の定、少し済まなそうな顔で、

「ごめんなさい。
先約がありますので…」と言う。


松本杏奈は、会社の忘年会なんかにも、
いつも欠席していた。
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