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ジッパー様
第5章 初めての誘い
 突然の誘いに、断る理由が思い浮かばなかった。喫茶店のことで動揺していたのもある。
 誤解されたまま片桐部長とご飯を食べに行き、帰りは家まで送ってもらった。


 その後も残業になると、毎回食事に誘われた。なぜ私なんかと……という思いとは裏腹に、片桐部長への想いが日に日に大きくなっていった。


「鈴村さん。明日は休日だけど、夜空いているかい?」


 また食事の誘いだろうか。
 いつも片桐部長に奢ってもらっているから、いいかげん誤解を解かないと……。


「明日はホテルのレストランを予約したんだ」

「えっ?」

「六時に迎えに行くよ」


 誰が来るかわからない給湯室で突然話しかけられて、私は考える間もなく頷いた。


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