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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 49 伊藤敦子の迷い…

  わたしは、大原常務の秘書が入ってきた瞬間の…
 わたしの愛するお姫さまである、佐々木ゆかりさんの表情を…
 いや、絶望に揺らいだ目を…
 見逃さなかった。

 あれが、大原常務を、ゆかりさんから寝取った女秘書――

 そして反面…
 そんな彼女の美しさにも驚いてしまっていた――

 あの魅惑的な美しさなら、あり得るかも…と。

「はい、美冴さん…」
 そんな時美冴さんに、松下秘書の隣の席へと手招きされた。

「ほら健太さんと伊藤さん、彼女が大原常務さんの秘書さんの、松下さんよ…」

 そして、そう紹介される…

「………」

「さぁ、これからお世話になるんだから、お近づきのしるしにさぁ…」
 と、テーブル上の瓶ビールに指を指してきた。

「あ、はい」
 
 だけど、わたしには、そんな美冴さんの言葉に…
 なんとなく引っ掛かる。

 美冴さんは、全部知っているんだ…と。

 そして、やっぱり、美冴さんも、ゆかりさんに対して…
 そうなんだ…とも。

 心のツカエが、スッキリした気がした――

「この彼と彼女は、越前屋さんと同じ様に、このプロジェクトのエースになる二人ですから…
 ぜひとも、松下さんにもよろしくしてもらえないとぉ…」

「…は、はい……」

 そして、わたしには、この美冴さんの然り気無い紹介の言葉の奥に、棘が隠されているようにも聞こえてきていた…

「あ、初めまして、伊藤敦子です…」

 わたしは、そう挨拶をし、そしてまた、この松下秘書の美しさに…
 目を見張ってしまった。

 本当に美しい…
 真性のレズビアンである、わたしの心が揺れるほどに。

 わたしは、ゆかり姫を、いや、佐々木ゆかりを愛している…
 そしてこの松下秘書は、ゆかりさんを苦しめる存在。

 だけど…
 松下秘書が、このまま大原常務を寝取ってしまえば…
 ゆかりさんは…
 わたしに、すがってくれる――

 いや、現に…
 昨夜、それは間違いなく感じた。

 ゆかりさんを守りたい。
 だけど――
 松下律子が、大原常務を奪ってくれれば…
 わたしに、完全に振り向いてくれるのかもしれない。

 わたしは、どちらを願っているのだろう…

「あ、松下さん、初めましてっす…
 コールセンター部の杉山っす…」

 彼の声が、現実に戻してきた――
 

 

 
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