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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 92 対峙の時(17)

 え、まさか?…
 心に一瞬にして浮かんできた大きな疑問、疑惑の思いとは。

 それは、本当は、ホントの相手は佐々木ゆかりではなくて、この蒼井美冴さんなのではないか?…
 という疑惑。

 わたしはコーヒーを彼女の目の前に置きながら、一瞬にしてそんな考えを逡巡してしまっていた。

 そして…
 その考えにザワザワと大きく心を騒つかせ、揺らがせ、動揺してしまう。

 それは…
 三人で横並びでソファに座っている蒼井美冴さんの隣の、つまりは真ん中に座っている次の佐々木ゆかりにコーヒーを運ぶ際に…

 カチャカチャ…
 と、カップとソーサーがわたしの動揺を顕すかの様に、いや、その不惑の思いからの動揺と心の激しい揺らぎによって指先を微妙に震わせて、小さく音を鳴らしてしまったのである。

 そう…
 わたしの心の不惑と揺らぎと、動揺を顕す音を。

 カチャカチャ…
 そしてカップとソーサーの震えが止められない…

「ど、どうぞ…」
 せっかく、さっきの対峙の瞬間には、シャネルの残り香というわたしの仕掛けのカラクリに気付いた佐々木ゆかりの心を絶望的に陥れ、そして全てに於いての彼女に対して『勝ち誇り』という自負に昂ぶる思いさえ感じていたのに…
 この動揺を顕す指先の震えの音により、その『勝ち誇り』という思いは一気に吹き飛び、消えてしまった。

 そしてどうやらこのわたしの心の動揺の顕れは、佐々木ゆかりに伝わったらしく…
「すいません」
 そう先程の声音とは違い、はっきりと応え、そしてチラとわたしを一瞥してきたのである。

 その一瞥はまるで…
 そんなカップとソーサーをカチャカチャと震わす程のわたしの心の揺れ、揺らぎを覗き込む目の様であった。

 そして…
「はい、どうぞ…」
「あ、すいませぇん、ありがとうございますぅ」
 と、なぜかその隣の越前屋さんに対しては、一瞬にして心の揺らぎが消えたのだろうか…
 震えなかったのである。

 わたしはそんな激しく心を揺らがらせたコーヒーの配膳を終え、大原常務の斜め後ろに控え…
 心を必死に落ちつかせようと努めていく。

 この佐々木ゆかりとの初めての対峙は、蒼井美冴さんという思わぬ伏兵の登場により…
 一進一退の五分になってしまった。
 
 そして、昨日の新潟支社での遣り取りの説明をしなくてはならない…



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