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第4章 王の婚約者

　まさに、定宗は二十四歳で初恋に落ちたのだった。




　だから、つい小さな嘘をついてしまった。いや、ミナにとっては小さな嘘では済まなかったかもしれない。領議政の肝煎りだから断れない縁談だなどと彼女には言ったのに、実際は断ろうと思えば断れないことはなかった。母大妃が不用意に洩らした言葉で、ミナが矛盾に気づき、抗議したのは数日前、彼女が初めて参内した日だ。