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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密

…足音が遠ざかり…車のエンジン音が聞こえた。
車が走り去る音が聞こえ…それも遠ざかり…やがて静かな波の音以外は何も、聞こえなくなった。
澄佳はしゃがみこみ、静かに涙を流し続ける。
柊司の愛を感じながらも、踏み出すことができなかった自分の臆病さに…絶望の涙は止めどなく流れるのだ。
ドアが開き、涼太のサンダルが澄佳の前で止まった。
「…これで良かったのかよ…」
二度と会うなと言ったくせに、涼太の口調は澄佳を責めているようだった。
「…わからない…」
「俺はお前が幸せじゃなきゃ嫌なんだよ。
あの野郎のことは大嫌いだけど!
今のあいつの言葉は信じていいんじゃないか⁈
どうして飛び込めないんだ⁈
お前の枷になっているものは、一体何なんだ⁈」
腹立たしげな言葉は、まるで澄佳の為に憤っているかのようであった。
「…わからない…もう…何も…わからないの…!」
澄佳は立ち上がり、店の奥に駆け込んだ。
涼太はもう追っては来なかった。
…中庭の奥…闇色に包まれた夜気の中、季節外れの紅紫色の秋桜が、寂しげに夜風に揺れていた。
車が走り去る音が聞こえ…それも遠ざかり…やがて静かな波の音以外は何も、聞こえなくなった。
澄佳はしゃがみこみ、静かに涙を流し続ける。
柊司の愛を感じながらも、踏み出すことができなかった自分の臆病さに…絶望の涙は止めどなく流れるのだ。
ドアが開き、涼太のサンダルが澄佳の前で止まった。
「…これで良かったのかよ…」
二度と会うなと言ったくせに、涼太の口調は澄佳を責めているようだった。
「…わからない…」
「俺はお前が幸せじゃなきゃ嫌なんだよ。
あの野郎のことは大嫌いだけど!
今のあいつの言葉は信じていいんじゃないか⁈
どうして飛び込めないんだ⁈
お前の枷になっているものは、一体何なんだ⁈」
腹立たしげな言葉は、まるで澄佳の為に憤っているかのようであった。
「…わからない…もう…何も…わからないの…!」
澄佳は立ち上がり、店の奥に駆け込んだ。
涼太はもう追っては来なかった。
…中庭の奥…闇色に包まれた夜気の中、季節外れの紅紫色の秋桜が、寂しげに夜風に揺れていた。

