この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?

◇ ◇
「……」
わたしの過去の一端。ここまでを聞き、均くんは次の言葉を探してるみたいだった。
彼が探し当てるのを待ってもいいけど、それでは少し意地悪だと感じて、やはりこちらから水を向けることにする。
「どう、思いましたか?」
「ど、どうって……」
「今、目の前にいるわたしのこと、汚らわしく、あるいは非情だと思ったのではありませんか?」
「そんな――!」
均くんが強くわたしを見つめ返した。その少し潤む眼差しの中に自分を見つけ、わたしはゆっくりとした口調で問い返す。
「そんな?」
ごくりと喉を鳴らし、そして均くんは慎重に言葉を選びながら話し始めた。
「汚らわしいなんて、思うわけないよ。岬ちゃんが悪いわけではないのに――酷い目にあったのに、どうしてそんな風に自分のことを蔑んだり、資格がないだとか――そんなことばかり言うの?」
「そう、〝岬〟は悪くありません。悪いはずがない」
「え?」
「わたしは〝岬〟ではありませんから」

