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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


    ◇    ◇


「……」

 わたしの過去の一端。ここまでを聞き、均くんは次の言葉を探してるみたいだった。

 彼が探し当てるのを待ってもいいけど、それでは少し意地悪だと感じて、やはりこちらから水を向けることにする。

「どう、思いましたか?」

「ど、どうって……」

「今、目の前にいるわたしのこと、汚らわしく、あるいは非情だと思ったのではありませんか?」

「そんな――!」

 均くんが強くわたしを見つめ返した。その少し潤む眼差しの中に自分を見つけ、わたしはゆっくりとした口調で問い返す。

「そんな?」

 ごくりと喉を鳴らし、そして均くんは慎重に言葉を選びながら話し始めた。

「汚らわしいなんて、思うわけないよ。岬ちゃんが悪いわけではないのに――酷い目にあったのに、どうしてそんな風に自分のことを蔑んだり、資格がないだとか――そんなことばかり言うの?」

「そう、〝岬〟は悪くありません。悪いはずがない」

「え?」

「わたしは〝岬〟ではありませんから」

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