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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

“ハッピーバレンタイン”の上にゆっくりと書いていく。
チョコだから途中で途切れてとても書きにくそうだ。
「…………」
ミミズのような文字で書かれたその言葉は【そらくんへ。】っと記されていた。
「このチョコの正解はこれだよ」
「あははっ、ソラ先輩は“そらくん”って私に読んで欲しいんですか?」
「そうじゃなくて、小さい頃に風子からもらったチョコにそっくりなんだよ。印象的だったから今でも覚えてる」
「えっ……。でも……この頃はまだソラ先輩と……」
「出会っていたよ」
信じられなくて完成したハートのチョコにもう一度視線を移す。
でもいくら見ても名前の部分にしっくりとこない。
「嘘つかないでくださいよ。そんなに小さな頃から知り合いだったわけないですって」

