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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り

「知らないです!」
ムッとした私は潮崎さんを置いて行くように足を早めて会社へと向かう。
「どうしてそんなにムキになるんだよー」
やっと落ち着いた出来事を蒸し返されてたまるか。
最初から潮崎さんに話すつもりはなかったけど、その婚約者は私ですと正直に言わなくて良かった。
午後になり、潮崎さんと別室で二人きりで仕事をすることになった時もまだ私の機嫌は治っていなかった。
「はい!ここから順に並んでいる紙を上に重ねて丁合いしてください」
「なんでまだそんなに機嫌が悪いんだよぉ~。同級生なんだし、仲良くしよー?」
「ここは会社です。学校じゃないんだからちゃんと仕事をしてください――――」
先輩として注意をすると、潮崎さんにいきなり両手首を掴まれた。
壁際に私の背中が当たるように追い詰めてきてふてくされた顔で見下ろしてくる。
「仲良くしよーって言ってるじゃん」

