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第55章 届かぬ愛の裏切り

今は“妊娠”という言葉が重くのしかかって、逃げるように顔を横に向けた。


「っ……、まだ調べてないので分かりませんが生理は遅れてます……」



「やっぱりそうなんだ。妊娠してるといいね。……俺との子供が」


「……はい」


素直に喜べないのは心に引っ掛かるものがあるせいだ。


忘年会に行かなければこんな気持ちになる羽目にならなかったのに……。



「不安なのかい？……でも大丈夫だよ。俺もできるだけ風子のことを支えるから。いっぱい頼って」


横に向けていた顔を頬にそっと触れられると共に正面に戻されてからキスを落とされる。


「んっ……、んんっ……」


目を閉じて何度かキスを受け続けていると、体調があまり良くなくてすっかり隠れていた性欲が騒ぎ出す。