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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第10章 光の当たる場所-千弥

「……このくらいかな?」
「……もうっ……」
多少怒っているようで、本気で嫌がっている様子はなし、嫌なら嫌とハッキリと言うようになった千弥、俺もこれで良いと思っている。
「さて、なにを作る気……これはオムライスかな?」
「その材料を切っていたら陸さんに止められちゃった」
「じゃあ、後は任せて?」
「うん」
最後には俺がで構わない。
それよりも、漸く俺に対する敬語が抜けたほうが何倍も嬉しいことか。
あの時話したことで安心したのか、俺が言ってしまったせいか、少しずつ千弥は敬語を変えていった。
今は陸と同じく普通に話す、これもまた千弥の変化した表れ。
「材料は良いとして、ソースはケチャップ派? それともデミグラスソース派?」
「僕ケチャップ派ー!」
「私もケチャップかな」
「了解。揃ってお子様派ということで」
「蓮!」
「蓮さん!」
こんな日常。
いや、やっと普通のシェアになったと言うべきか。
キッチンで昼食を済ませれば、リビングで揃って騒ぐ。千弥はあの窓際の独り掛けソファーがお気に入りで、クッションを抱き抱えて座り、陸はフローリングに直座り、俺はローテーブルを挟んだソファーと、それぞれの定位置も決まったよう。
毎日飲み物を変えながら、今まで使ったこともないテレビ鑑賞。これがまた三人揃って同じドラマが好きらしく、各々の部屋で見るのを止め、リビングで録画したのを見るのもお馴染みになった。

