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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第10章 愛縁

「殿下がお逢いになるとのことです」
王付きの老内官に言われ、賢は王の執務室に脚を踏み入れた。かつて王太子であった頃は、自分も国王代理として、ここで執務をしたことがある。だが、不思議と懐かしいという気はあまりなかった。
ジュチを失ってからというもの、それ以前の我が身の人生は何か見知らぬ他人のもののような気がしてならない。十八年の人生の中で、ジュチと恋人として過ごしたあのわずかな期間だけが賢の中で輝きを放っているように思えてならなかった。
王付きの老内官に言われ、賢は王の執務室に脚を踏み入れた。かつて王太子であった頃は、自分も国王代理として、ここで執務をしたことがある。だが、不思議と懐かしいという気はあまりなかった。
ジュチを失ってからというもの、それ以前の我が身の人生は何か見知らぬ他人のもののような気がしてならない。十八年の人生の中で、ジュチと恋人として過ごしたあのわずかな期間だけが賢の中で輝きを放っているように思えてならなかった。

