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第30章 それぞれの、生きる場所…
鼻血の止まったアイルは

動かないのか

動けないのか

ベンチでじっとしている。





騒がれないように

敢えて移動しないのか…?





白々しいくらいオレの方は見ず

目を合わせず



コートの子どもたちを

見守っているようだった。







次第にオレは

足元に転がったボールを拾ったりしている

アイルの姿に気づく。





ダイチ先輩もいない日だし
とりあえず支障がなきゃいいか…。




臨機応変に・・・



スタッフも少ないから
調度良いと言えば調度良い。



「すみません
ボール出しって出来ませんか?」



『えっ?…』




スタッフの一人がアイルに声をかける



オイオイ…。






手が回らないのは

わかってるけどよ……?






「タキガワコーチ~?いいですか?」











~~オレに振るな・・・!!




……ってのは無理な相談だよな?(苦笑)








『え……あ~~・・・』



変に動揺しても

頑なに拒んでも変に思われそう……。




そして困り顔のアイル……。




えっと・・・どうする?~~・・・









『しゅ……シュンくん……だったよね?』



『え?・・・うん』





『ゴメン・・・・・・教えてくれる??』




また場がざわめき出すのは御免だ~・・・

とでも言うように

アイルが立ち上がり





…オレに助けを求められないアイルは




そばにいたシュンにSOS…。





なんてこった。




『こうやって・・・
ぽ~ん、って…なげるだけ』




『う、うん・・・わかった…!』




意外にも丸く収まってしまい(?)
しばらく練習は続く。




試合形式の練習に入る頃には
アイルはそれとなーく
すみによけていた。
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