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《愛撫の先に…②》
第15章 握る小さな手…
『ちょっとぉ高瀬あたしの結城啓輔に何すんのよっ!』
奈々美の頭上で相沢がそうまくし立てる声が聞こえた。

『ちっ、この男身をそらせてよけてんだろ、怒んな』
結城に向けた唾がきれいな床を汚す。

相沢・高瀬の会話のとおり結城は身をそらせてよけていたのだ。
そして結城は先ほどもらったポケットティッシュをポケットから出した時目の前の奈々美も同じティッシュを手にしていた。

『ものを拾うのもひと苦労なのに君は止めときなさい、そして君が汚したわけじゃないのですから』
彼は奈々美の行動を首をふって制し3枚のティッシュをとり指先だけの手つきで唾液を拭いとりきれいなティッシュ3枚へのせ丸めこみ近くのごみ箱に入れた。

啓輔さん…
唾を拭き取るなんてみていられない…

『ちょっとぉこんないい男に唾なんか拭き取らせないでよ高瀬っ!』
奈々美の肩に肘を食い込ませながら言う相沢の剣幕は周りの家族らが振り向いてみるほど。

『俺はこの男に唾を吐きかけたのによけたから拭いてとる事になったんだろ?悪いのはこの男だし、元はというと江崎が悪いんだろ』
完全に不貞腐れた高瀬は奈々美と結城を睨んだ。

そこに先ほどトイレだと走っていた家族4人がほぼ同時に通路を走ってきてパパと男児がママと女児を呼ぶ。
さも通路をふさぐ事に迷惑だという表情をしながらママと女児は横歩きで奈々美らをすり抜け家族と合流する。

『通路をふさぐ立ち話等お客様の迷惑でしたね…そして買い物をして出なければ午後の勤務に遅れてしまう』
結城は近くの館内の時計から奈々美に視線を移す。

『えぇ〜っ仕事途中でイーオ〜ンに来ていたの?何で?』
先ほどの親子連れが迷惑そうに通ったのが気づかないようで結城と話が繋がっていたいようだ。

『教える程でもありませんよ、さぁ行こう』
結城は手を差し伸べた。

『あたしにぃ?今夜セックスぅ?』
目を輝かせ口を大きくあけて喜びを表す相沢はやっと奈々美の肩にかけていた身体を離し結城の手を握ろうとした。

『行きましょう』
結城は相沢の手をよけて奈々美の手を取り妊婦の身体に負担がかからないよう自分が側に行き奈々美を抱き上げた。
奈々美のお腹が結城のネクタイピンに触れ抱き上げた瞬間にスカートの裾がフワリと揺れ両膝がみえる。
彼女は彼のうなじに片手をあてていた。

『えぇぇ〜っ!!江崎の?』
相沢と高瀬の絶叫。


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