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蕩けるようなキスをして
第38章 告白
頭上高くに留めてあったパールのバレッタを、華夜子は両手で外す。
軽く頭を数回振れば、栗色の長い髪の毛が堰を切ったように肩に流れ、背を揺れる。
櫛で整えた訳でなく、その少し乱れた状態のまま。
自分に向けられている強い視線を感じ、華夜子は右隣りを見た。
蓋を外したペットボトルに口を付けかけ、そのまま彼女に見惚れていた陸は、慌てて目を逸らす。
アパートに帰って来てからずっと。
誰が見る訳でもなく、つけっ放しになっていたテレビ画面を見遣りながら、お茶を含む。
特段見たくもない情報番組から目を離す事なく-否、離せずに。
陸は口を噤んだまま、何も喋らない。
そんな彼の横顔に、何かを言い掛け-結局言えず、華夜子も沈黙してしまう。
手にしたままのバレッタを居心地悪く、なんとはなしに弄りながら。
「…痛かった?」
ふたりの間の静寂を破ったのは、陸だった。
華夜子は、陸の次の言葉を待つ。
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