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第33章 抱擁

つくづく。
自分の自制心なさに、嫌気が差す。
重い息を吐を（は）きかけたところで、いきなり彼女の怒鳴り声が届いた。
塞ぎ気味だった陸は吃驚し、肩を竦めてしまう。
「普段は可愛くないって、それどーいう意味よっ？」
「え？えっ？」
陸は、どこにそんな怒りのポイントがあったのか、よく分からない。
理解に苦しんだが、とりあえず、振り上げられた右手は阻止しなくてはならず、陸は身体を少し右へ避（よ）けた。
「ほら。そーいうところが、可愛くないんだって」
なんとか危険を回避し、陸は苦笑する。
「あなたがいつも私を怒らせて、私を可愛くなくしてるんでしょうっ？」
華夜子が詰め寄れば、陸は苦笑いを浮かべつつ、後ずさる。
「初めて逢った時から、こえー顔で睨んでくるわ。馬鹿にするわ。嗤うわ。膝蹴りはしてくるわ－」