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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
綺麗事を言ったって。
本当は、触れたくて。
本当に、触れたくって、堪らない。
知らないだなんて。
そんな事、言わせない。
「俺を煽るなよ、華夜」
腰を支える、左手。
そのあまりの細さに、驚き。
「だからこんな事をされてる」
頭に回された、右手。
香しい匂いが、鼻先を掠める。
「一緒にいたいなんて。俺と、いたいだなんて。そんな言われ慣れてない事を囁かれたら、単純なんだから、すげー喜ぶに決まってる。調子に乗るに決まってる。…我慢してんに決まってるだろ。どれだけ、抑えてると思ってんだよ。こうしたいに決まってる」
自分の両腕に掴まえた、彼女の身体を抱き締め。
より近くに来るように、自身の身体に押し付け。
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