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蕩けるようなキスをして
第20章 指輪の跡
別れを、言わなければ。
夏休みが終わったら-陸は口を開いた。
「夏休みが終わったら、少し前までそうだったように、同じ大学同じ学部のただの先輩と後輩に戻ろう?」
華夜子の横顔が反応する。
「もう、話し掛けたりはしない。廊下で擦れ違っても。そういう、元通りの関係に戻ろう?」
華夜子の顔が上がる。
彼が微かに笑ってる。
「色々と、ごめんね-華夜子」
名前を呼ぶのも、これが、最後。
「ばいばい、おねーさん」
もう、図書館で読書って気分じゃないな-彼女に手を振り、陸は正門に向けて歩き出す。
『おねーさん』
だなんて。
夏休みが終わったらって-もう、たった今からただの先輩と後輩になってるじゃない。
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