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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
「すげーでけー欠伸」
最高に愉快そうな声がし、華夜子は慌てて奥歯を噛み締めた。
その瞬間をばっちり見られた後だから、なんの意味も成さなかったけれど。
「…うるさい」
恥ずかしさに怒りがプラスされ、華夜子は左隣りを鋭く睨む。
「こえーなあ。そんな鬼の形相で睨んでくんなよ」
ベッドに背を預け、スマートフォンを弄っていた陸は、本気で怯える。
「なんで見ない振りが出来ないかなあ?」
華夜子の厭味に、陸は速攻で答える。
「無理。だって目の前だよ?しかもあんな隠す事もなくされたらさあ-」
-見られてもいいからしてるのかなって。
苦笑いする陸に、華夜子は小声で言い放つ。
「…そんな訳ないじゃん」
スマホに夢中だし、きっと今なら大丈夫-どうやら、その気の緩みがまずかったらしい。
これ以上相手をすれば、もっとからかわれる-今までの経験から学んだ華夜子は、大きな溜め息をひとつ、無言で手にしていたファンデーションに向き直る。
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