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蕩けるようなキスをして
第72章 最愛
からかわれるが-だめだと思っているのは、本当だった。
両手首を陸にしっかりと握られたまま、貫かれる。
何かに縋って快感をどうにか逃したいのに、それが叶わない。
気持ちの良さを感じれば感じる程、辛くなってくる。
快楽と苦痛の狭間で、華夜子は身悶える。
そんな葛藤を知ってか知らずか-華夜子を支配しつつ、陸は求める。
「華夜」
「しらな…っ」
「かや」
「しらない…っ」
あまりにも意地が悪過ぎる。
だから、知らない。
どんなに優しく呼ばれたって-絶対に、知らない。
天を仰ぐように喘ぐ華夜子の背で、艶やかな栗色の髪が流れる。
彼女の切ない心を反映するかのように、長い髪が揺れ続けるその背中-突如として、陸が抱き寄せた。
解放される、両手。
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