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蕩けるようなキスをして
第72章 最愛
A3用紙を、ほぼ真ん中からふたつに裂いた。
二枚になったものは更に半分に。
四枚になったものを更に半分。
大きな用紙は、見る間に小さくなってゆく。
目の前で繰り広げられる光景に、陸が呆気にとられている間に、それはただの紙片となった。
小さくなった紙切れを手に、華夜子は深い呼吸を一度。
やがて、持参していた鞄の内側のポケットにしまった。
陸がどう声を掛けていいのか分からずにいると、華夜子が身体毎こちらに向き直った。
笑顔を見せる彼女に、陸は増々戸惑ってしまう。
「変なものを、最後に見せてしまってごめんね。陸には、見せるべきものではなかったと思う。でも、ひとりではどうしても決断がつかなくて。もう何度も捨てようとしたんだけど…」
一瞬哀しみに顔を歪めた華夜子を、陸は抱き締めた。
いつもの彼の香りに、シャンプーやソープの匂いが混じり、華夜子の鼻腔に届けられる。
「…髪」
そこで、ようやく思い出す。
二枚になったものは更に半分に。
四枚になったものを更に半分。
大きな用紙は、見る間に小さくなってゆく。
目の前で繰り広げられる光景に、陸が呆気にとられている間に、それはただの紙片となった。
小さくなった紙切れを手に、華夜子は深い呼吸を一度。
やがて、持参していた鞄の内側のポケットにしまった。
陸がどう声を掛けていいのか分からずにいると、華夜子が身体毎こちらに向き直った。
笑顔を見せる彼女に、陸は増々戸惑ってしまう。
「変なものを、最後に見せてしまってごめんね。陸には、見せるべきものではなかったと思う。でも、ひとりではどうしても決断がつかなくて。もう何度も捨てようとしたんだけど…」
一瞬哀しみに顔を歪めた華夜子を、陸は抱き締めた。
いつもの彼の香りに、シャンプーやソープの匂いが混じり、華夜子の鼻腔に届けられる。
「…髪」
そこで、ようやく思い出す。

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