パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第69章 求める夜

「先生？」
あまりにも刺々しく冷たいひとことに、彼を確認した華夜子は肩を竦める。
今しがたまで、あんなにも自分を優しく見詰めていた瞳はもうなかった。
不愉快を絵を描いたかのような険しい陸の表情に、華夜子は怯える。
「先生って、高階先生？」
一瞥され。
華夜子は恐る恐る、頷く。
「なんで今、高階先生の話が出てくるんだよ？」
「…なんでって」
思わず。
言い淀んでしまう。
迂闊に何かを喋ってしまうと、とんでもない事態を引き起こしそうだった。
十分言葉を選んで発言する必要がある－そう、華夜子は判断したのだ。
そんな華夜子の様子に、陸の茶色の両眼が不快に狭まる。
「…先生の話は、もういいって言ったろ。分かったって」
吐き捨てるような陸の呟きに、華夜子の胃は締め付けられてゆく。