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蕩けるようなキスをして
第66章 秘密
暫し幸せに酔い痴れていると、陸の耳に華夜子の声が届けられた。
「…陸を戸惑わせるだけだから、言わなくていい。ずっと、思ってきたけれど」
「華夜?」
ついさっきまでの彼女の横顔とは、まるで違った。
張り詰め。
強張り。
いつも魅惑的なその唇は-固く、閉じられていた。
どうしたの-訳が分からず陸が笑いながら問えば、華夜子は遂に意を決し、その口唇を開けた。
「もっと早くに言えれば良かったのかもしれない。でも、今日やっと、先生の事を陸に打ち明けられたから」
真摯な眼差しが、陸に向けられた。
緊張が、身体中を走る。
「陸を今更困らせたいんじゃない。怒らせたいんじゃない。哀しませたいんじゃない。そのどれもじゃない。陸が好きだから。陸に隠し事はしたくないから。それは信じて」
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