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蕩けるようなキスをして
第66章 秘密
泣き腫らした真っ赤な目で、次の日の講義を受けた。
教壇に立った高階先生は、私のその顔を見て、一瞬哀しそうな表情をした。
だがそれだけで、授業後に何かを言われる事はなかった。
下手に慰められたり、中途半端に優しくされるより、よっぽど良かった。
そんな事をされたなら。
すぐに勘違いしてしまう。
そんな事をしたら。
忘れるのがまた一日、遅くなってしまう。
だから。
黙って、そっとしてくれて正解だった。
そんな日々が過ぎ、初冬のある日。
その日の私は、朝から風邪気味で調子がいまいちだった。
折角の高階先生の熱心な話も、この日ばかりは殆ど頭に入っていかなかった。
ようやく講義が終わり。
早急に身支度を整え、留以と共に玄関に向かっていたところを、背後から声を掛けられた。
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