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蕩けるようなキスをして
第66章 秘密
「華夜。今日はごめんね」
並んで立った駅のホームで、陸が謝ってきた。
「今まで散々聞きたくない、話さなくていいなんて言っておきながら、今日は色々と突っ込んだ事、沢山訊いてしまった。思い出したくない事を思い出させたり、困らせたり、哀しませたと思う。なのに、そのどれもをきちんと答えてくれて…ごめん。ありがと」
恥じ入るような陸の口調に、華夜子は頭(かぶり)を振った。
「そんな事、ない。私、陸が先生の事訊いてきてくれて、嬉しかった。まさか陸に先生の事、こんなにも色々と話せる日が来るなんて、思ってもみなかったから」
恐らく偽りではない華夜子の言葉に、陸は微かに笑った。
「…先生との恋愛って、漫画や小説とは全然違うんだな。我慢しなきゃいけない事、乗り越えなきゃいけない事、秘密にしなきゃいけない事…辛い事も沢山あっただろうに、でもお互いを想い合っていたんだなって…素直に凄いと思った。華夜と先生を」
本心だった。
嫉妬は-なかった。
不思議な事に。
ほんとに-ただ、凄いなと。
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