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第12章 乃愛

「…北海道行ったら、何食べよ」
沈みかけた心を払拭するかの如く、華夜子は努めて明るく、情報誌を覗き込む。
こうやって毎日を楽しく過ごす事が、あなたへの一番の慰めとなるのなら。
あなたが一番嬉しがってくれるのなら。
私は元気だよ。
私は笑ってる。
今年の夏は、友達と旅行にも行くんだよ。
ただ、あなたを完全に思い出にするには、もうちょっと。
あなたじゃない誰かを好きになるには、まだ。
あなたじゃない誰かをあなたぐらいに好きになれるのは、まだまだ、まだ。
それは、許してね。
まだ、あなたを好きでいていい？
まだ、あなたを好きでいさせて。
まだ、あなたを好きでいたい。
まだ、あなたが、私、大好き－…。