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蕩けるようなキスをして
第59章 蕩ける夜
感情は置き去りにされた。
恥ずかしい-思うより早く、身体が応えた。
感情よりも、身体で感じた事が全てだった。
未だかつて味わった事のない強烈な快感が、一気に背中を駆け上(のぼ)った。
気持ちがいい-ただ、それだけだった。
少し前まで、あんなに躊躇っていたのに。
あんなに、服を脱ぐ事を。
あんなに、裸体を曝け出す事を。
だから。
自分で自分が信じられなかった。
彼のすぐ目の前で、大きく脚を開いている自分。
これ以上の恥ずかしさなんて有り得ないのに、閉じようとしない自分。
割られたままの状態で、ひたすら彼の愛撫を受けている自分。
彼の攻めに身も心も蕩け、濡れそぼった自分。
そのどれもが信じられなかった。
そのどれもが今の自分には、少しも恥とは思わなかった。
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