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蕩けるようなキスをして
第59章 蕩ける夜
眉を顰(しか)めかけ。
今まで自分の上にいた彼が、不意に隣りに横たわった。
驚いていると、片腕で抱き寄せられる。
陸の胸に顔を預ける形となった華夜子は、その温もりに心が安らいでゆく。
「…華夜の話を、ちゃんと聞かなかった自分を棚に上げるなら」
低音の声が、陸の胸を通して聞こえてくる。
「面倒臭いどころか、滅茶苦茶嬉しがってる」
「嬉しい…?」
「正直、もうこのまま終わっちゃうのかなって思ってた。でも、奇跡的にまた逢えて。以前と変わらず一緒にいれる事になって。それだけで嬉しかったのに、夜まで一緒に過ごせて。ほんと、もう十分だったのに」
そこで一旦区切り、陸は華夜子を見詰めた。
「それなのに更に、俺が初めてだって言ってくれた。自分の大好きな彼女からそう言われて、嬉しくない男がどこにいるんだよ?」
陸が微笑み、華夜子のまなじりに、じんわりと涙が浮かぶ。
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