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第58章 真相

温かで、見た目からなんて想像もつかない程に繊細な彼－いつも、こうしていたい。
「即答出来ない私を絶対責めなくて。寧ろ、重たい自分の申し出が悪かったと謝ってくる。そんな優し過ぎる陸を、もう傷付けたらいけないと思った。こんなにも私を想ってくれている陸に、私も報おうと思った。もう二度と、大切なひとを失いたくって思った。陸を誰にも渡したくない…はっきりと、そう思った」
華夜子の告白に、陸の心臓の動きは格段に速まった。
目の奥が－熱くなる。
何か気の利いたひとことでも－思うのに、何も言えない。
感動に打ち震える心では、何も考えられない。
こんな時ほど男らしく、彼女を包み込むように抱き締めたいのに－思うように力が入らない。
例によって情けなさに溜め息が出てしまう－だって、嬉しくて。
喜びは抑えられず、その指先は震えてしまう。
でも。
こんな自分でもいいって。
こんな自分がいいって。