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蕩けるようなキスをして
第52章 行けない
「冬休みは、実家に帰る」
もう、彼女は見なかった。
もう、掻き乱さないで欲しかった。
もう、頼むから、放って置いて欲しかった。
指と指を絡め、確かに約束を交わした。
楽しみにしていた。
指輪はまだ受け取ってはくれなかったけど。
でも、楽しみだった。
付き合い始めて、初めてのクリスマスだった。
また、彼女とイルミネーションを見に行くはずだった。
本当に、心待ちにしていた。
その心を、いとも簡単に、打ち砕いたくせに。
自分との約束を、あっさりと、反故したくせに。
心躍らせていたのは、自分だけだった。
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