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蕩けるようなキスをして
第48章 束の間の
「馬鹿。だから華夜は、声でかいんだって。そんな大声で『今からホテルに行きます』なんて周りに宣言されたら、流石の俺だってちょっとは恥ずかしくなるじゃねーか。勘弁してくれよ」
苦笑いをされ、華夜子の頬は火照る。
「ただ訊き返しただけだしっ?ホテル行くなんて、一言も言ってないしっ?…は、恥ずかしいってねえ、あなたにだけはほんっと言われたくないからっ!そもそもなんでホテルな訳?何がどうしてそういう話?」
動揺して、混乱して、段々自分で何を口走ってるのか分うからなくなってくる。
「それに、あなたに恥ずかしいなんて感情がある訳?ないでしょっ?」
逆に自分の方が、毎回毎回、彼に振り回され、しなくてもいい恥ずかしい思いをしている-現に今だって。
次第に熱を帯び、興奮する華夜子を、暫し面白そうに眺めていた陸だったが、やがて光る木々を見渡しながら、呟いた。
「…自分のものなんだなぁって」
突然のそれを上手く聞き取れず、華夜子は彼を問い質すように見る。
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