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蕩けるようなキスをして
第48章 束の間の
「今夜だって、ちょっと歩けば、もうみんなが陸に見惚れてて-」
「…んな事ねーよ。気にし過ぎだ。別に俺みたいな顔なんて、テレビつけりゃいくらでもいるだろ」
「テレビの中ではね。実際にはそういないよ。だからみんな、陸を見る」
「…だったらなんだって訳?」
陸は苛立ちを隠せず、彼女に鋭く言い放つ。
なんで、この日に。
なんで、今。
なんで、こんなどうでもいい事を彼女は言ってくるのか。
「いつかも…確かそれこそ、初めて華夜とふたりで出掛けた夏休みにも、そんなような事言ってこなかったっけ?でも、そこで解決した事じゃなかったの?なんでまた-」
-今更。
「そうだけど。でも-」
言い淀み。
そして、華夜子は意を決して、声にする。
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