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永遠の恋
第8章 現実は厳しく…
栞奈は頼朝と少しの時間でも一緒にいようと毎日病院に向かった
頼朝が寝ている間は、うるさくしない様に家族の待合室へと向かう
そこで一人の人と栞奈は出逢った
生きるのを辞めた人を見た
何時間もボーッと窓の外を見ている人を見ていた
栞奈はその人に「何を見ているんですか?」と声をかけた
その人は知らん顔をした
「聞こえてます?」
栞奈はもう一度声をかけた
その人は手にしたスケッチブックを開くと
『うるさい!』と殴り書いた
栞奈は、え………と唖然とした顔をした
「声……出ないんですか?」
問いかけると、その人はブザーを押した
そしてやって来た看護師と共に、病室へと帰って行った
足が動かないのか、車椅子を押して移動させて貰っていた
悪いことをしたな……と栞奈は椅子に座って考えごとをしていると、さっきの看護師がやって来た
「高村さん、これ、さっきの人からです」
見るからにスケッチブックの切れ端だった
そこに「ごめん」と書いてあった
看護師は「ごめんなさいね、悪気はない人だから」と代弁するかの様に謝った
「あの人、声出ないんですか?」
看護師は何も答えずに、去って行った
その日から時々、その人を見る様になった
その人と話をする様になった

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