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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第4章 カイさんの事
あの日以来、SUNのドアを開ける瞬間が、私の楽しみになった。
連絡先も知らない。
ただ、お店で会っただけの人。
会えるかは、ドアを開けるまで分からない。
お店だけが、彼と私を繋ぐ唯一の手段だった。
“今日も彼に会えますように…。”
ドキドキしながらドアを開ける。
「いらっしゃいませ。」
希がひょこっと顔を出した。
「また来ちゃった。」
「毎日でも、来ていいよー。」
「さすがに毎日は、無理でしょっ。」
2人でそんな話をしながら、いつものように、カウンター席に座る。
あれから何度かSUNには来ていて、カイさんにも何回か会うことが出来た。
いつもカウンターの端の席で、お酒を飲んでカラオケをしていた。
帰り際に、あの日と同じ様に、会釈してくれるものの、まだ1度も話した事はなかった。
いつもカイさんがいる席を見る。
彼の姿は…なかった。
今日は、久しぶりに夜に飲みに来た。
カイさんに会えなかったのは、残念だけど、今日はゆっくりしていこう。
希や常連さんとの会話も弾み、お酒もすすむ。
“結構飲んじゃったなぁ…。”
何だかフワフワして、気持ちがいい。
“ちょっと眠くなっちゃった。”
軽く目を閉じた。

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