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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第27章 第十一話 【螢ヶ原】 其の参

今となっては、お絹と吉之助―、お彩にとっては実の両親の間にいかなる心の交流があったかを知る由もないが、ただ憎しみだけで繋がった拘わりであるとしたら、あまりに哀しい。
そのときだった。突如として、腹の子が動いた。
「あ―」
お彩は小さく声を上げ、片手で腹部を押さえた。こんもりとした膨らみからかすかな振動が伝わってくる。ずっと手を当てていると、赤子は更に元気良く何度も力強く腹壁を蹴った。
お彩に言われて、伊勢次もお彩の押さえた手のひらの上に自分の手を重ねる。力強く腹を蹴る感触は確かに生きている小さな生命を感じる。生きようとする明確な意思がその動きから伝わってきた。
そのときだった。突如として、腹の子が動いた。
「あ―」
お彩は小さく声を上げ、片手で腹部を押さえた。こんもりとした膨らみからかすかな振動が伝わってくる。ずっと手を当てていると、赤子は更に元気良く何度も力強く腹壁を蹴った。
お彩に言われて、伊勢次もお彩の押さえた手のひらの上に自分の手を重ねる。力強く腹を蹴る感触は確かに生きている小さな生命を感じる。生きようとする明確な意思がその動きから伝わってきた。

