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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第27章 第十一話 【螢ヶ原】 其の参

吉之助と母の間にどのような経緯(いきさつ)があったのかは知らない。ただお絹を逆恨みした者の命を受けて、お絹を拉致し、手込めにしたのが吉之助であった。
しかし、幼いお彩をその墓前に連れてきた日、お絹は確かに言った。
―この墓の下に眠るお人は、お前にとっては大切な人だよ。
あのときの母の横顔はひどく淋しげで、今にも泣き出しそうに見え、お彩は母が本当に泣き出すのではないかと思って心配したものだ。すべてを教えてくれた伊八は話の最後に言った。
―お前の真のおとっつぁんは惚れた女と我が子を自分の生命を賭けて守り抜いたんだ。お前は、そのことを誇りに思って生きてゆけば良い。
しかし、幼いお彩をその墓前に連れてきた日、お絹は確かに言った。
―この墓の下に眠るお人は、お前にとっては大切な人だよ。
あのときの母の横顔はひどく淋しげで、今にも泣き出しそうに見え、お彩は母が本当に泣き出すのではないかと思って心配したものだ。すべてを教えてくれた伊八は話の最後に言った。
―お前の真のおとっつぁんは惚れた女と我が子を自分の生命を賭けて守り抜いたんだ。お前は、そのことを誇りに思って生きてゆけば良い。

