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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第26章 第十一話 【螢ヶ原】 其の弐

伊勢次の視線を辿ると、その先は卓の上の食事に注がれていた。具の殆どない味噌汁、飯、香のものといった至ってささやかなものだが、伊勢次の方が殆ど食べ終えているのに対し、お彩の方の器はまだ手付かずに近い。
「ごめんなさい。いつも残してばかりで」
お彩は弱々しく微笑んだ。
「勿体ないものね。伊勢次さんはいつも一日中外に出て一生懸命働いているのに」
お彩がしゅんとすると、伊勢次は慌てた。
「いや、そういうことを言ってるんじゃねえんだ。毎日、そんなに残してばかりじゃあ、身体がもたねえんじゃないかと俺は、これでも心配してるんだよ。どうせ、俺がいねえ間もろくに食べちゃいねんだろう?」
どうやら、伊勢次は何もかもお見通しのようである。ひと言もないお彩を見て、伊勢次は苦笑する。
「ごめんなさい。いつも残してばかりで」
お彩は弱々しく微笑んだ。
「勿体ないものね。伊勢次さんはいつも一日中外に出て一生懸命働いているのに」
お彩がしゅんとすると、伊勢次は慌てた。
「いや、そういうことを言ってるんじゃねえんだ。毎日、そんなに残してばかりじゃあ、身体がもたねえんじゃないかと俺は、これでも心配してるんだよ。どうせ、俺がいねえ間もろくに食べちゃいねんだろう?」
どうやら、伊勢次は何もかもお見通しのようである。ひと言もないお彩を見て、伊勢次は苦笑する。

