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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第26章 第十一話 【螢ヶ原】 其の弐

おきわは長らく労咳を患っている。この頃はとみに弱って、殆ど寝たきりなのだと、いつか伊勢次が案じ顔で話していた。
そのおきわの姿がないことを控えめに訊ねてみたところ、おきわは現在、小石川養生所に入って療養中だという応えが返ってきた。この小石川養生所は公儀(おかみ)が建てたものであり、公の医療機関として巷の人々に医療を提供していた。
いわば入院治療が可能な官立の病院であったが、庶民の中にはこの養生所に入りたい患者があまたおり、いつでも順番待ちというほどの人気であった。おきわもかねてから入所を希望していたのだが、ついひと月ほど前、やっと願いが聞き届けられたのだという。
そのおきわの姿がないことを控えめに訊ねてみたところ、おきわは現在、小石川養生所に入って療養中だという応えが返ってきた。この小石川養生所は公儀(おかみ)が建てたものであり、公の医療機関として巷の人々に医療を提供していた。
いわば入院治療が可能な官立の病院であったが、庶民の中にはこの養生所に入りたい患者があまたおり、いつでも順番待ちというほどの人気であった。おきわもかねてから入所を希望していたのだが、ついひと月ほど前、やっと願いが聞き届けられたのだという。

