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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐

おみよから聞いたばかりの一連の話は、あのときの随明寺で伊勢次と対峙したときの市兵衛を嫌が応にも思い出させる。
あの折、市兵衛は本気で怒っていた。市兵衛の全身から蒼白い焔が燃え立つのが見えるほどであった。あの市兵衛を見たお彩は、この男を怒らせるのは危険だと咄嗟に感じた。
本当に怒ると、感情を表に出さず、より冷静になるのが市兵衛という男なのだろう。普段というか本来の彼は、おみよの言うように優しい穏やかな男だが、ひと度怒れば、冷酷非情になり相手を徹底的に打ちのめさずにはおれないのではないか。
あの時、感情を表に出して爆発させていた伊勢次より、醒めた眼で伊勢次を見つめていた市兵衛の方がよほど迫力があった。
あの折、市兵衛は本気で怒っていた。市兵衛の全身から蒼白い焔が燃え立つのが見えるほどであった。あの市兵衛を見たお彩は、この男を怒らせるのは危険だと咄嗟に感じた。
本当に怒ると、感情を表に出さず、より冷静になるのが市兵衛という男なのだろう。普段というか本来の彼は、おみよの言うように優しい穏やかな男だが、ひと度怒れば、冷酷非情になり相手を徹底的に打ちのめさずにはおれないのではないか。
あの時、感情を表に出して爆発させていた伊勢次より、醒めた眼で伊勢次を見つめていた市兵衛の方がよほど迫力があった。

