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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐

長い話を終え、おみよは小さな吐息を吐きだした。
「私がお側で拝見する限り、旦那様は、そのことでずっとお苦しみになられていたと思います。確かに旦那様はお嬢様や清五郎さんとのことに心からお怒りになっておられたでしょうけれど、まさか、お二人が続けて自害なさるとまではお考えではなかったでしょう。あの事件があって以来、旦那様は、すっかりお変わりになってしまわれて。以前は明るくて冗談もよくおっしゃっていたのですよ。奉公人たちにも気さくに声をかけて、声を上げて笑われるお姿をよく見かけました。お小さいときから京屋に入られて、ご苦労も色々とおありになられましたからね。その頃から旦那様は既に未来の若旦那になる道が決まっていたも同然でしたが、それを妬む者も多かったんです。先代様のお眼の届かぬところで、随分と嫌がらせもされていたようです。
「私がお側で拝見する限り、旦那様は、そのことでずっとお苦しみになられていたと思います。確かに旦那様はお嬢様や清五郎さんとのことに心からお怒りになっておられたでしょうけれど、まさか、お二人が続けて自害なさるとまではお考えではなかったでしょう。あの事件があって以来、旦那様は、すっかりお変わりになってしまわれて。以前は明るくて冗談もよくおっしゃっていたのですよ。奉公人たちにも気さくに声をかけて、声を上げて笑われるお姿をよく見かけました。お小さいときから京屋に入られて、ご苦労も色々とおありになられましたからね。その頃から旦那様は既に未来の若旦那になる道が決まっていたも同然でしたが、それを妬む者も多かったんです。先代様のお眼の届かぬところで、随分と嫌がらせもされていたようです。

