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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐

そして、悲劇は続いた。
お市は、いつしか清五郎を本気で愛するようになっていたのだ。亭主の気を引くための駆け引きで始めたかりそめの恋が気が付けば真の恋になっていた。清五郎の無残な死を知り、お市は失意と絶望の中に自害した。清五郎とよくひそかな逢瀬を持っていた倉の中で首を攣った―。世間の手前もあり、大店の 目もあり、お市の死は病死として処理された。
お市は最後まで、陽太が清五郎を殺したのだと信じて疑っていかった。現実に陽太が手を下してはいないが、お市は哀しみのあまり、良人が清五郎を殺害して大川に投げ込んだと信じ込んでいたようである。
お市は、いつしか清五郎を本気で愛するようになっていたのだ。亭主の気を引くための駆け引きで始めたかりそめの恋が気が付けば真の恋になっていた。清五郎の無残な死を知り、お市は失意と絶望の中に自害した。清五郎とよくひそかな逢瀬を持っていた倉の中で首を攣った―。世間の手前もあり、大店の 目もあり、お市の死は病死として処理された。
お市は最後まで、陽太が清五郎を殺したのだと信じて疑っていかった。現実に陽太が手を下してはいないが、お市は哀しみのあまり、良人が清五郎を殺害して大川に投げ込んだと信じ込んでいたようである。

